映画『ジョジョラビット』感想■最高傑作だよこれはライフイズビューティフルのオマージュ
皆さんこんにちは
今回紹介しますのが今話題の「ジョジョラビット」です
以下・・・あらすじと感想
*今回はネタバレありですので注意して下さい。
ジョジョ・ラビット (2019)
JOJO RABBIT
あらすじ
第2次世界大戦下のドイツが舞台。10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイヴィス)は、青少年集団ヒトラーユーゲントに入団し、イメージの中の友人であるアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)に助けられながら一人前の兵士を目指していた。だがジョジョは訓練中にウサギを殺すことができず、教官に“ジョジョ・ラビット”というあだ名を付けられる。
感想
#好きな映画10個あげると人柄バレる
僕が今まで観た映画の中で、好きな映画10個上げた場合の1つに「ライフイズビューティフル」が入ります。(他の作品はまた紹介します)
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カンヌ映画祭で審査員グランプリに輝いた、ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演の感動作です。1939年、ユダヤ系イタリア人のグイドは、小学校の教師ドーラに恋をする。彼の純粋さに惹かれた彼女は結婚を承諾。やがて可愛い息子も生まれ、3人は幸せな日々を送っていた。そんなある時、彼らに突然強制収容所への収監命令が下る・・というお話。。こちらライフイズビューティフル、、
【戦争✖家族愛✖子供の可愛さ✖コメディ✖悲劇】を織り交ぜた名作になっています。
今作の「ジョジョラビット」も
【戦争✖家族愛✖子供の可愛さ✖コメディ✖悲劇】と・・
構成がすごく似通っています。
そう書きますと・・・「いやいや全然違うでしょー!!」と反論されるのは百も承知で書き進めていきます。
「ジョジョラビット」は
第2次世界大戦のドイツ側の少年の目線から描いた戦争映画になっています。
オープニングから「ビートルズ」がガンガン音楽でかかりながら、それをバックにヒトラーを崇拝する当時の映像が流れます。
先に申しますと・・
戦争を軽いタッチで描きつつ、その反面戦争の悲劇を垣間見せる訳ですが、あくまでもこの映画・・・
ファンタジーであります。
かなり軽いノリで戦争を子供の目線で描いていますので、恐らくですが観客の中には
「こんなものは史実と異なる!!」「ドイツの占領下のユダヤ人迫害」はこんなもんじゃない!!
・・と歴史のことをよく知っている方ほど、腹を立てる人もきっといるでしょう?
しかしこの映画はあえて・・ファンタジーとしてみれば、この面白さにドはまりすること間違いありません。
対して「ライフイズビューティフル」は・・主人公のユダヤ系イタリア人グイドの話であります。
前半はグイドのお気楽なキャラを中心に軽快なタッチで描かれます。
そこで一目ぼれしたドーラと結婚、そして息子のジョズエが生まれます。
実はこの映画冒頭で「これは、私の物語である。」というナレーションから始まります。この「私」とは息子のジョズエのことであり。
隠れた主役はジョズエであることを示しています
「ジョジョラビット」のジョジョも、「ライフイズビューティフル」のジョズエも、年の頃はまあまあ同じぐらい。(ちょっとジョジョが上だけど)
ついでに可愛さも同じぐらい
「ライフイズビューティフル」では、後半ナチスの収容所に家族で入れられるわけですが、ジョズエは収容所が危険な場所とは理解していない。
(これには父の努力もあるわけですが)
片や「ジョジョラビット」のジョジョは周りに感化されてヒットラーを崇拝している。
皆で戦隊ごっこしているぐらいの気分で、キャンプに参加している。周りで戦争が起きていることには、どこか他人事。本当に戦争で人が死んでいくことを理解できていない様子。さながらヒトラーを映画スターぐらいにでも考えているのか、それを風刺しているのが、オープニングでのヒットラーのバックに流れるビートルズの曲が流れるシーン。
ネタバレ注意↓
「ライフイズビューティフル」では、キーポイントになるドイツ人が出てきます。
ユダヤ人迫害が起きる前から、主人公のグイドと交流があります。
そして収容所でグイドはそのドイツ人と思わぬ再会します。
観客の誰しも、このドイツ人がこの親子を、ピンチから救ってくれる救世主だ!!と期待します・・
しかし彼は親子には何の興味もなく立ち去っていきます。。ミスリードさせて観客に絶望感を与えます
片や・・
「ジョジョラビット」には・・ジョジョのお父さんは出てきません。
その代わりの役割をしているのが、キャンプやビラ配りで交流のあるキャプテンkです。
観客は誰しも・・キャプテンkはナチスの崇拝者だと思って観ています
しかし・・・終盤キャプテンkがジョジョをかばい敵から助け出します(家での捜索場面もそうですが、当然ナチスを崇拝していると思った彼が、ユダヤ人の存在に気がついても、密告しません)
ライフイズビューティフルとは逆パターンでミスリードさせています
その後、、ジョジョの見えないところで、銃声だけ「ダダダッ」と音がして、キャプテンkが殺されたことを示唆しています。
このシーンは明らかに「ライフイズビューティフル」の父グイドが、息子の「ジョズエ」をかばい・・
ナチスにつれていかれて死ぬシーンと合致します。
遠くから「ダダダッ」と銃声が聞こえて、グイドが殺されたことを示します。
どちらの映画も殺されるシーンを、音だけで表現して、残酷にみせない手法を取っています
ジョジョラビットにはもちろん「ライフイズビューティフル」にもない、アレンジや伏線も沢山引いてあります。
最初のウサギを殺すことができなくて、ついたあだ名。。ジョジョラビット。つまりそれは・・
うさぎ=部屋にかくまったユダヤ人少女エルサ
になっているわけですが
彼はユダヤ人エルサとの交流から、最後妄想として出てきていたヒットラーを蹴飛ばし、窓から落とします
それでもまだ・・
ギリギリのところで、ユダヤ人=ウサギの認識を捨てきれなかったのでしょうか・・・
戦争が終わったにも関わらず、エルサに対し「ドイツ軍が勝った!!」と嘘をついて、いつまでも自分のもとを離れないようにしようとします。完全に人格を無視した行動です。
ここで観客は違和感を覚えたはずです。。「なぜ開放しないんだ!!」
でもそれが子供なのです。
親友だったヨーキーだって、戦争が終わって遠くに行ってしまう。
エルサがいなくなれば、もう自分の味方が誰も居なくなります
子供は純粋だけど、その反面残酷でもあります。
それは彼が書いた「ユダヤ人」に関するノートからも計り知れるわけです。ユダヤ人を馬鹿にして風刺したイラスト、残酷にユダヤ人を痛めつけたような絵も描かれてあります。そして最後のページの籠に入ったウサギの絵・・
そこには鍵が描いてありました・・・ジョジョはずっと葛藤していたんですね
そして最後の決断・・・
作中エルサは、勝気な少女として描かれています。。
最後家から外へ出た時、「ドイツ軍が勝った」と嘘をついたジョジョに、ビンタを食らわします。
そして二人のダンスシーンとデビット・ボウイの音楽と共にエンドロールを向かえます。
観客は皆こう思うでしょう・・・
その後「ユダヤ人エルサと、ドイツ人ジョジョは一緒に幸せに暮らした」と・・・
しかしそれは、観客やジョジョが望むことであって、エルサが望むことではありません。。
ずっと狭い部屋に閉じ込められていて、やっと自由を手に入れた、そして勝気な性格の彼女がどんな行動をとるのか、、、
まあそれは
観客にゆだねるということなのでしょうが・・
ただ最初に述べたこの作品をファンタジーと言ったのですから、、
ジョジョは結べなかった靴ヒモを結んで、新しい人生へと踏み出すのです。そして、、
「二人は幸せに暮らしましたとさ・・」
めでたしめでたし
ということでなのでしょうけど。。
あとがき
映画の終盤でヒトラーの死について主人公ジョジョとヨーキーが会話するシーンがあります。ヒトラーはどんな最後を遂げたのでしょうか?
1945年4月30日ナチスの総統アドルフ・ヒトラーは総統地下の一室で、夫人のエーファ・ブラウンとともに自殺する。
自殺の手段は、拳銃と劇薬であった。ヒトラーの生前の意向に従い、夫妻の死体はガソリンをかけて燃やされたが、その残骸は赤軍により発見されて、回収された。ソ連によりヒトラーの死体は秘密裏に埋められた。しかし1970年になってから掘り起こされ、完全に焼却されたあとにエルベ川に散骨された・・・
最後はあっけなく寂しい結末だったようですね。
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